長期投資でリスクは減らない?

このブログでは、資産管理という観点(運用で資産を増やすというよりは、管理してツールとしてのお金を自分でコントロールしよう、というような意味)で、投資についても取り扱っていこうと思う。できれば末永くリゾートライフを楽しんでいたいし、そのためには少なからずお金に対する知識と経験が必要である。

さて、資産管理というと「長期投資」というのが「基本」だと考えられている。例えば次のような言い方。

株式投資は決して危険ではなく長期で取り組めばリスクを低減させることができます。

当たり前のように思うこの表現だが、プロに言わせると適切ではないという。例えば、経済評論家の山崎元氏は、こう述べている。

投資期間とリスク:長期投資でリスクは縮まない

お金の運用に関してよくいわれる「常識」で、実は正しくないものの一つに、「運用期間が長くなるとリスクが縮小する」あるいは「運用期間が長くなれば大きなリスクを取れる」というものがある。

(中略)

運用期間が長くなるほど変動は大きくなっており、つまりリスクは大きいということだ。 もちろん、期待される収益も1年の運用よりは2年の運用の方が大きくなっているから、大まかにいうと、運用期間の長短は運用する際に取ることができるリスクの大きさには影響しないと考えるのが正しい。

たとえば年齢が若いと運用期間が長いので、株式などで大きなリスクを取ることが出来ると単純にパターン化することは正しくない。

何か、混乱してしまうかもしれないが、この混乱は、「リスク」という言葉を、一般の人が使うのと、投資の専門家が使う場合とでは、意味が違うことから来ている。投資におけるリスクとは、一般には「損をすること」とほとんど同義だと思う。しかし、投資理論の世界におけるリスクとは、「価格が変動すること」を指しているのである。

これはノーベル賞を受賞したマーコウィッツという人が発表した、現代投資理論(Modern Portfolio Theory)と呼ばれる有名な理論にあるもので、彼の理論の中では、

  • リスクとは標準偏差で示される価格変動の大きさ
  • すべての資産は、リターン(期待収益率)とリスク(標準偏差)で表現できる

となっていて、これが彼の理論における画期的な定義づけであった(その理論そのものは別稿にて)。

上で引用した山崎氏の言うリスクとは、「価格変動」を指しているので、「投資結果の失敗」を指しているわけではない。では、長期投資によって「投資の失敗は避けられる」のだろうか。

(続きます、かな?)